Type 2000年5月中旬号
マイクロソフト日本社長も一目置いたイマドキの大学生
「ビジネス&IT」力、大公開

日経アドレ 2000年4月号 日経ホーム社
目指せスーパー大学生第四回

共同通信記事(京都新聞・中国新聞・埼玉新聞・岐阜新聞)
2000年2月〜

1999/12/24 日経産業新聞 
終面 特集記事<未来創世>

DOS/V Power Report 99年5月号 株式会社インプレス社

日経ビジネスウィナー
板倉雄一郎の 企業家診断室

Type 2000年5月中旬号
マイクロソフト日本社長も一目置いたイマドキの大学生
「ビジネス&IT」力、大公開

「在学中にゲーム業界の方とお話しする機会があり、その話がとても面白く、自分でも作ってみたいと思うようになったのです。」
・・・(中略)・・・
宮下君はまず、ゲームソフト制作団体Child-Dreamを立ち上げ、RPG(ロールプレイングゲーム)を制作。97年にネット上でシェアウェアソフトを販売したところ、シナリオのおもしろさが受け、大反響になる。ゲームクリエイターとしての自信を得た宮下君は、その後さらに3本のゲームを制作。わずか3年で、累計一万本のセールスを記録。ダウンロード数は10万本を超え、オンラインそるとのゲーム制作集団として日本でトップクラスの売り上げを誇るまでに成長した。そして、99年6月に組織を法人化し、有限会社チャイルドドリームを設立。

ところで、あるデータによればオンラインソフトの市場規模は、家庭用ゲーム機市場の300分の1程度、パソコン用パッケージゲームソフト市場の30分の1程度。市場規模はまだまだ小さく、クレジット決済にセキュリティ面の不安があるなど壁は厚い。さらに、ダウンロードの際の容量の制約で、画像などを多く入れられないなどの難点もある。到底、ビジネスとして成功するとは思えない市場で、宮下君はどのような戦略を練ったのか?
「ゲームソフトを有料でダウンロードさせるゲーム制作会社が多い中、私は、ゲームのあるシーンまでは無料で楽しんでもらい、内容のおもしろさに納得したら有料でダウンロードしてもらうようにしたのです。課金はクレジット決済ではなく、銀行振り込みです。また、容量的に画像に凝れない分、シナリオのおもしろさを徹底的に追及しています。オンラインゲームを『納得』して『安心』して楽しんでもらえるように、できる限りの配慮をしたのが良かったと思います。」

・・・(以下略)・・・

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日経アドレ 2000年4月号 日経ホーム社
目指せスーパー大学生第四回

ゲームに関しては決して妥協しない宮下さんは、97年にオンラインゲームソフトの制作を目的としたアマチュア団体を立ち上げ、昨年法人化。立ち上げたばかりの組織にありがちなことだが、まず最初に直面した問題は人員の不足だった。
「最初は、プログラムを組むことからたった一人で始めました。幸いにも、大学の友人やクリエーターが手伝ってくれて軌道に乗りましたが、当初は人手不足で何かと大変でした。」
また、人員が揃っても、肝心のコンテンツができなければ意味がない。制作面では、現在の通信インフラが重いファイルをダウンロードしにくいということもあって、技術的に困難が多かったようだ。「画像や効果音、システムなどで大容量を使うゲームの場合、特にこの点の制約が厳しい。どうすれば質の高いソフトを作れるか、何度も試行錯誤しました。」

ゲーム開発には、作業をしていく上での精神的な苦痛も伴う。「何でもそうだと思いますが、クリエーティブな部分は楽しいけど、それを形にするための作業は辛い。ゲームに関していえば、シナリオを作ることは楽しいですが、デバッグやプレイヤーの行動を考慮した細部の作り込みは単純作業に近くなっていく上に手間がかかります。挫折しそうになることも何度かありました。」

一見厳しい仕事のようだが、「熱心なユーザーの方から応援されていると思うと、うれしくて、またがんばろうという気になる」のだという。

・・・(以下略)・・・
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共同通信記事(京都新聞・中国新聞・埼玉新聞・岐阜新聞)
2000年2月〜

ネットで磨いたゲームに自信

「ゲームの業界で生きていきたい、プロになりたいと思って実際にゲームを作り始めたのは学部を卒業して、大学院生になってからだった」と宮下さん。

ゲーム業界で活躍したいと思えば、ソフトメーカーへの就職を考えるのが普通の道だろう。しかし、宮下さんはそうしなかった。

パソコンを使って一人でゲーム制作を始めた。友人らに助けられゲームの制作集団「チャイルドドリーム」を結成、ネット上のアマチュア音楽家の曲も取り入れさせてもらった。

こうして完成した幻想的なロールプレイングゲーム(RPG)の「Lost Memory」は一九九七年秋に、インターネットを通じて配布する「オンラインソフト」として公開・エンディングまで遊ぶためには千円必要だが、約六千人が購入したという。

「ソフト会社に就職すると、下積みからやらなければならない。最初からゲームを企画する立場でやりたかった。ネットで手軽に配布できたのが大きかった」

昨秋までにモンスターの視点で話が展開するRPGや実在のホームページを手がかりに謎解きするアドベンチャーゲームなど、斬新な作品を次々に発表。いずれもネット上で高い評価を受けた。

・・・(以下略)
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1999/12/24 日経産業新聞 
終面 特集記事<未来創世>

大学に学ぶ若い人材の意識に変化の兆しが表れている。
ユニークなアイデアと技術を手にした若者は、
有名大学から 大企業へという就職の既定ルートから飛び出し、
学生のうちに起業する。
自分の未来に対する拡張性を信じ、
既定路線を歩む”ワープロ人間”からの脱皮といえそうだ。
大組織の中枢に座る優秀な人材を輩出し続け、
エリートコースの代表例といわれた東京大学も例外ではない。

■ユーザーが評価

「ストーリーと曲でここまで人を魅了するゲームはめったにない」
「シナリオがしっかりしていると感じた」―。
インターネットでパソコンに取り込む「シェアウェア」ゲームの
「ロストメモリー」がネットで高い人気を集めている。
ゲームの感想を 書き込むホームページには
ユーザーから届いた評価が並ぶ。
作者は東大大学院工学系研究科に籍を置く宮下氏。
二年前に一本千円で「ロストメモリー」を発売、
累計六千五百本を 販売した。
「大好きなゲームを仕事としていく自信がついた」という
宮下氏は売り上げを元手に
チャイルドドリーム(東京・千代田)を 六月に創業した。
大学院ではシステム量子工学を専攻し、
データ処理用チップの設計を 学ぶはずだったが、
シェアウェアの販売を始めて以来、大学院は休学中。
休学してからほぼ二年が過ぎ、
友人たちは電力会社、科学技術庁、
大手コンピューターメーカーなどに次々と就職した。
だが、ゲーム開発の魅力から逃れることができなかった。
「お世話になった教授には申し訳ないが退学することになる」と
将来に迷いはない。
現在はシェアウェアに比べ、圧倒的に市場が大きい
家庭用ゲーム機ソフトの開発に取り組んでおり、
下宿から事務所まで 自転車で毎日通い、
夜明けまでゲーム制作に熱中する。
宮下氏は確信している。
「自分の好きなゲームを作り世に問うには企業の一員になってはだめ」
開発中の家庭用ゲーム機版「ロストメモリー」は、
2000年中に発売する予定だ。
採算ラインは売上数で五万本だが、
「それで絶対満足せず、
もっと広く受け入れられるものを作る」と力を込める。

■リスクを覚悟

名大学を出て、
大企業や中央官庁に就職することが功の道と考えられていた。
しかし、バブル経済や55年体制の崩壊で
政治・経済の枠組みが抜本的に変わりつつある。
時を同じくして 浮上したIT(情報技術)革命は
企業や個人の関係を変えた。
リスクを覚悟で果敢に挑戦していく人材が明日を創造する。

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DOS/V Power Report 99年5月号
株式会社インプレス社

本稿は、インプレス社DOS/V Power Report 99年5月号の記事から転載しました。
DOS/V Power Reportホームページ:(http://home.impress.co.jp/magazine/dosvpr/

▲宮下
Child-Dreamの主宰にしてプロデューサー・シナリオライター

▲秋元
Child-Dreamには音楽担当として参加しているが、CG、ムービー、Macintoshプログラミングもこなすマルチクリエイター

Child-Dream結成の経緯は?

宮下:最初から団体を作ろうというわけではなかったんです。
もともと私がゲームを作りたいと思っていたのですが、
アスキーから発売されているRPGツクールという制作ツールがあったので、
それを使えば個人レベルでも何とかできるかな、
ということで一人で作り始めました。
最初はグラフィックやサウンドを素材集で補っていたのですが、
それでは足りないので、
手伝ってくれる人を探してサークルの仲間に声をかけたりしているうちに、
どんどん増えていって……。という感じですね。
メンバーの入り方は二通りです。
インターネット上で作品を見付けて
「これを使いたいな」というのが縁でメンバーになっていただくのと、
私の近くにいる人間で「こいつこんなことができたんだ(笑)」というのと。
みんな今では不可欠な存在になっているんですけど、
最初は本当に一人で作り始めたという形でしたね。

最新作「人形の傷跡」開発の苦労話などありましたら教えてください。

宮下:いろいろありますよ(笑)。
まず現代物のアドベンチャーが難しいというのがあります。
一つの推理小説を書くだけの力がいりますから。
ファンタジーRPGの自由度に比べると、
現代をベースにした話の難しさというのもありますね。
それとシステム面で思ったようなものが組めなくて、
理想とのギャップが大きかったです。
まだ、今の状態でゲームとして最良の出来とは思わないんですけど、
ようやくなんとか形になったというところです。
将来的にコンシューマ化することを目標にしているのですが、
それを考えられるだけのものになってきたと思っています。

「RPG制作集団」が今回アドベンチャーを作られたのは
どういった理由でしょうか。

宮下:芸風を広げたい、といったところですかねえ(笑)。
いろいろ作りたいと思っていますので。
RPG制作集団という肩書きは、単にこれまでRPGを作っていたから、
ということで深い意味はありません。
私としてもRPGも好きだしアドベンチャーも好きだし、
あとシミュレーションですとか、いろいろなジャンルに興味がありますから、
どれも積極的にやっていきたいです。
そういう意味では今までRPG2本作ってきたので今度はアドベンチャー、
またファンタジーだったのに対して現代物というふうに、
コンセプトをいろいろ変えて作っています。
あくまで、修行時代、試行錯誤している段階だと思っていますので。
だからよい評価をされたから、
それと同じようなものを同じ主人公設定で作って、
なんてことをやりたいとは全然思わなくて、
むしろいろいろなことに挑戦していきたいと思っています。

音楽に力を入れていらっしゃるようですが。

宮下:そうですね。僕だけじゃなくて、メンバー全員音楽経験者ですから。
音楽に関しては各々のこだわりがありますね。

それでいろいろなところに声をかけているわけですね。

宮下:やはりよいものを使いたいと思いますから。
たとえば「Lost Memory」のテーマ曲、
元曲は「One Day」というのですが、あれがまさに典型的で、
初めは素材集とかを探していたのですが、
なかなかよいものがなくて、
インターネット上をいろいろ探した結果、あの曲かな、と思いまして……。
そこでAIさん(「One Day」の作曲者)と出会ったわけです。
秋元さんとの出会いもインターネット上なんですよ。

秋元さんはどういった経緯でChild-Dreamのほうに?

秋元:4,5年前にMacintoshを買いまして、
音楽が目的で買ったわけではなかったのですが、
たまたまフリーのMIDIシーケンスソフトがあって、 作曲を始めました。
挙げ句の果てにホームページまで作ってしまったのですが、
それがきっかけでここのメンバーと知り合えたわけです。
昔は1週間に1曲くらい作っていたのですが、
ここに加わってからは1日に2,3曲くらい(笑)。
ゲームの画面を見ていると
そのシーンに適した曲が浮かんでくるので…。

曲作りのポイントは。

秋元:いろいろな曲を聞くことですね。
なんでもいいですから。
気に入った曲があればそれを徹底的に追及するのでもいいですし。

次回作について教えてください。

宮下:現実と連動する形のアドベンチャーゲームというのを考えています。
「現実交錯型アドベンチャー」「リアルミッション型アドベンチャー」
とでも名付けようかと思っていまして、
基本的なシステムは普通のアドベンチャーなのですが、
その中でたとえば主人公が誰かにメールを送りたいが、
マシンが壊れていて送れないと。
「あいつにメールさえ出せれば」と
メールアドレスを眺めていたりするわけです。
そこでプレイヤーはゲーム中では行き詰まっちゃうんだけど、
どうするかと言うと、自分で実際にそのアドレスにメールを書くわけです。
そうしたら、当然自動返答なんですけど、
その人からのメールが返ってくる。
それを見て今度はゲーム中も進むことができるという仕組です。
Webも同様に、ゲーム中に出てきたサイトが実在するわけです。

これらの仕掛けの中で一番のポイントはメールマガジンとの連動でして、
「Gamers View」というメールマガジンがあるのですが、
その編集長が新たにゲーム関連のメールマガジンを
かなり大きな規模で立ち上げるんです。
それとの連係の企画という形で、たとえば主人公が記者と話していて、
プレイヤーはその内容が分からないのですが、
そのメールマガジンを購読して読むと、
ゲーム中に出ていた記者が実在していて、
編集後記に暗号があったりとかね。
そういった考えがあるので、今回はシステムから作ってみることにしました。
かなりコストをかけることになるのですが、
思い切ってやってみようかな、ということで。

基本的にはインターネットとの連動ですね。

宮下:そうですね。
ただ実際にプレイヤー自身が事件に巻き込まれていくような
感覚を出そうとも思っています。
これはシナリオ上の話で、言ってしまうと
ゲームの内容に踏み込むことになるので説明が難しいのですが(笑)。
今はまだ構想中ですが、
どこまでそういう雰囲気を出せるかが勝負になってくると思います。

そのほかのポイントなどは。

宮下:「人形の傷跡」はホラーっぽいものになってしまったので、
それよりはもっと、推理とか、人間関係とか、
そういったものを色濃く出していきたいなと思っております。
推理という要素をシステム上で表現したいというのが一つと、
あとはキャラクター性をもっと出していきたいですね。

コンシューマ化という話がありましたが具体的には……。

宮下:Child-Dreamの活動目標として、
コンシューマ機で作品を出したいというのがあります。
要はプロとしてやっていくということです。
RPGというのはどうしても
オンラインソフトには向かないところがあるんですよね。
CG、サウンド、ムービーなどをふんだんに使ってこそ、
という部分がありますから。
そういった意味でコンシューマで作りたい、というのがまず第一ですね。
また、多くの人にプレイしてもらいたい、という理由もあります。

ただそのためにどういったアプローチを取るかが難しいところでして、
たとえば映画で言えば監督にいきなりなりたい
と言っているようなものですからね(笑)。
そこでまずオンラインソフトという形で、
ネットワーク上の実力、知名度、ユーザーを蓄えて、
その実績をもとに既存のゲーム会社への売り込みという形で
コンシューマ化を実現したいな、と思っています。
まだ本格的ではないのですが、
ゲーム業界の人たちとお会いしたりとかも、徐々に始めていまして、
また夏に完成する次回作が出れば、
インターネット上でおもしろいことをしている制作集団として、
メジャーな存在になっていけるのではないかな、と思っております。

ユーザーに対してアピールしたい点などありましたらお願いします。

秋元:次回作も泣かせますので、楽しみに待っててください(笑)。

宮下:これが全力だと思ってもらっては困る、
みたいなところはあるのですが(笑)、
やはりオンラインソフトということで、
制約があって作っているのが大きいですから。
今後まだ、同じ素材でもっとよいものが出せる可能性はあります。
そういった意味では、われわれにとっては
今出しているソフトはプロトタイプ、
絵描きで言えばスケッチみたいなものです。
色が入るのはこれからですね。
ただ、スケッチだからといって本気を出していなかったり、
おもしろくなかったり、というわけではありません。
スケッチだけれども、鉛筆でできる限りのことはしています。

これからオンラインソフト(ゲーム)を作ろうという人に一言お願いします。

宮下:これは私が勝手に付けた区別なんですが、
クリエイターとアーティストという区別があって、
アーティストが作るものはたとえ他人が評価しなくても
アートとして成り立つ可能性があるのですが、
クリエイターというのはやはり他人が評価してなんぼ、
というものだと思うんですよ。
本人がすごくよいと思っていても、
誰一人としてそれを評価してくれなかったら、
それはやっぱりダメだと思うわけです。
だから作るときもユーザーがいて、
評価されてなんぼという意識で作る必要があると思います。
ただ一方で、「他人のためにやる」という発想に行ってしまうと
おもしろくないので、そこが難しいのですが(笑)。

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板倉雄一郎の
企業家診断室

■会社にする必然性を考える

宮下:私の会社はゲーム会社です。法人化は一年前なんですが、それまではゲーム制作団体としてやっていて、ネット上のシェアウェアとして、一万本くらい売りました。

板倉:それってのは多いんですか?

宮下:PC(パソコン)用のシェアウェアとしては、たぶん日本で1番だと思います。ただ、日本では1番でも、その市場自体が注目されていないので、やっぱりゲーム家庭用ゲーム機だなぁ、という感じですね。

板倉:それは会社組織として作ったんじゃなくて?

宮下:いいえ。個人レベルですね。でもそれは、1年前の法人化前までの話です。まあ会社はおこしたんですけど、基本的にはゲームを作ることが好きなんです。

板倉:なるほど。だから代表取締役ゲームデザイナーなんだ(笑)。

・・・(以下略)・・・
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