このゲームの主人公・上条明日美は、音信不通の姉に逢うために上京し、留守中の姉のアパートに住むことになった。しかし---姉が通っていたという「帝都工業大学システム工学科 神子塚研究室」の人々は、口を揃えて「そんな人物はいなかった」と主張するばかり。まもなく研究室の院生が礫死体となって発見され、明日美に何かを伝えようとしていた男も転落死を遂げる。研究室ではどんな研究が行われていたのか?姉は本当に存在していたのか?そして明日美が巡り着いた真相とは・・・?意味ありげな不気味さが前編に漂っており、プレイヤーは一刻も早く真相を知りたいと思わされるはず。謎の設定にはパソコン用アドベンチャーゲームの影響が強く、いわゆる本格ミステリ的な謎解きはないものの、謎の吸引力を主体としている点から見て、これが広義のミステリゲームであることは間違いないだろう。SFやホラーの要素を取り込みつつ、新しい形態を獲得しつつある近年のミステリ状況に鑑みれば、一緒の本格ミステリだという表現さえ可能かもしれない。
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